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不動産小口化商品、始める前に知るべき「税金」の話

不動産小口化商品、始める前に知るべき「税金」の話

不動産小口化商品の税金ってどうなっているの?

「少額から不動産投資ができる」と人気の不動産小口化商品。安定した分配金が期待できるなど魅力が多い一方で、「税金ってどうなっているの?」と不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

不動産小口化商品は、そのスキームによって税務上の扱いが大きく異なります。知らずに始めてしまうと思わぬ税負担に直面したり、せっかくの節税メリットを逃してしまったりする可能性も。

今回は不動産小口化商品を始める前にぜひ押さえておきたい税金の基本について、わかりやすく解説していきます。

なぜ税金の話が重要なのか?

不動産小口化商品から得られる収益には、当然ながら税金がかかります。しかし、その「所得区分」が商品によって異なるため、課税される税率や計算方法、さらには他の所得との合算の可否まで変わってきます。

不動産小口化商品には主に「任意組合型」と「匿名組合型」という2つの主要なスキームがあります。それぞれ税務上の取り扱いが大きく異なる点がポイントです。

1.任意組合型不動産小口化商品の税金:不動産所得として申告

まず、任意組合型の不動産小口化商品についてです。

このスキームでは投資家は事業者と「任意組合契約」を結び、対象となる不動産の共有持分を直接取得します。つまり、法律上は現物不動産の一部を所有しているのと同じ扱いになります。

そのため、任意組合型から得られる分配金(賃料収入など)は、原則として「不動産所得」として扱われます。

不動産所得の特徴とメリット

総合課税の対象
給与所得など他の所得と合算され、所得税・住民税が課税されます。所得税は累進課税制度のため、所得が高いほど税率も高くなります。

損益通算が可能
不動産所得に赤字が出た場合、その赤字を給与所得など他の所得と合算して課税所得を減らす「損益通算」が可能です。これにより、全体の所得税・住民税を節税できる可能性があります。

必要経費の計上
不動産の取得にかかった費用や、管理運営にかかる費用(管理委託料、修繕積立金など)を必要経費として計上できます。これにより、所得金額を抑え、税負担を軽減できる場合があります。

相続税評価における圧縮効果
これが任意組合型最大のメリットとも言われます。投資家が不動産の共有持分を直接所有するため、相続税の計算においては、原則としてその持分を不動産として評価します。不動産の評価額は、現金や有価証券に比べて低く評価されることが多いため、相続税の圧縮効果が期待できます。

注意点

不動産所得となるため、原則として確定申告が必要になります。 青色申告承認申請書を提出することで、特別控除などの税務上の優遇を受けられる可能性があります。

2.匿名組合型不動産小口化商品の税金:雑所得として申告

次に、匿名組合型の不動産小口化商品についてです。

このスキームでは、投資家は事業者との間で「匿名組合契約」を結びます。投資家は資金を出資しますが、不動産の所有権は取得しません。事業者が不動産を所有・運用し、得られた収益を投資家に分配する形です。不動産クラウドファンディングの多くもこの匿名組合型スキームを採用しています。

匿名組合型から得られる分配金は、原則として「雑所得」として扱われます。

雑所得の特徴と注意点

総合課税の対象
不動産所得と同様に給与所得など他の所得と合算され、所得税・住民税が課税されます。

損益通算ができない
雑所得に赤字が出た場合でも、原則として他の所得との損益通算はできません。

必要経費の計上
匿名組合型の分配金を得るためにかかった費用を必要経費として計上できます。ただし、不動産所得ほど多様な費用を計上できるわけではありません。

相続税対策効果は限定的
不動産の所有権を持たないため、任意組合型のような相続税評価額の圧縮効果は期待できません。金融商品として評価されることになります。

確定申告の必要性
給与所得者で年間20万円を超える雑所得がある場合、原則として確定申告が必要です。

事業者が源泉徴収しているケースが多いですが、確定申告で改めて正しい所得額と税額を計算する必要があります。

「不動産小口化商品」税務上の注意点と確認事項

不動産小口化商品への投資には、以下の点に注意し事前に確認するようにしましょう。

スキームの確認
商品が「任意組合型」なのか「匿名組合型」なのかを必ず確認しましょう。これによって税務上の扱いが大きく変わります。商品の目論見書や重要事項説明書に記載されています。

源泉徴収の有無
分配金が支払われる際に、事業者が所得税を源泉徴収しているかを確認しましょう。源泉徴収されている場合は、確定申告時にその金額を差し引いて税額を計算します。

相続税対策の目的
相続税対策を主な目的とするのであれば、必ず任意組合型の商品を選び、事前に税理士に相談してご自身の状況に合わせたシミュレーションを行うことが重要です。

税制改正のリスク
税制は常に改正される可能性があります。将来的に不動産小口化商品に関する税制が変更される可能性も考慮に入れておく必要があります。

まとめ:始める前に専門家への相談を

不動産小口化商品は、少額から不動産投資を始められる魅力的な商品です。ただし、税務上の取り扱いはやや複雑です。特に、任意組合型と匿名組合型では所得区分から税金計算、そして相続税への影響まで大きく異なります。

ご自身の投資目的や現在の所得状況に合わせて、最適なスキームを選ぶことが大切です。不安な点や不明な点があれば、必ず投資を検討している商品の事業者や、税務の専門家(税理士など)に相談し、納得した上で投資を始めるようにしましょう。適切な税務処理を行うことで、より効果的な資産運用が可能になります。

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TRUST BRICK 運営事務局

不動産小口化商品を中心に皆様の資産形成に役立つ情報を発信していきます。
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